前回は、まだまだバンコクでのスパ経営が軌道に乗るまでの道のりは果てしなく遠い…という話をさせていただきました。
そんな中でもトヨとナツコには、少しずつ変化が起こりつつありました。
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第21話目は、19歳の元タイマッサージ師ポックちゃんのホームシックが巻き起こすひと騒動についてお話ししたいと思います。
とよの指導教養に全く耳を貸さないタイ人スタッフ達
元タイマッサージコンビの接客指導と生体水の説明をするために、とよは再びタイにやってきました。
ちゃんとした通訳さんを頼んで、ポックちゃんとジップちゃんに、接客方法、商品の植物生体水の説明等をしました。
でも、ふたりとも全くやる気なしです。
なんでそんなことをする必要があるの?内容を入力してください。
なんでスリッパを出すの?
自分で履けばいいでしょ
なんで靴を揃えるの?
メニューの説明なんてできない。
タイマッサージではマッサージの説明なんてしない!!
…等々、なんでを数えたらきりがないくらい、全てに文句をつける二人です。
だから、うちはタイマッサージ店じゃなくて、日本のエステサロンだから!!
と言っても、
じゃあとよさんが説明すればいいじゃん!!
というありさまです。
私が、タイ語を喋れて、タイ人と会話ができるなら、あんたらに頼まなくてもやってるよ!!
と心の中で二人を罵倒していたとよですが、とにかく二人共態度が横柄で、店のルールは自分達が決めると言わんばかりです。
商品の説明に関しても、全くメモを取りません。
メモも取らないで、次からお客さんに説明できるの?
と聞いても
メモを取らなくても、もう覚えた
と言います。
本当に「どうしようもない」というのは、このことだと思いました。
職業人としてのあまりのレベルの低さに情けなくなりました。
この時は、これがタイのレベルなのか・・・と思うと、この国で働く自信がなくなりました。
(実際には、この子達のようにちゃんと教育を受けていない低階層の子達と、今のRENEの理学療法士のようにきちんと教育を受けた子とでは、レベルの差があるすぎるだけだったのですが・・この格差社会がタイの大きな特徴だったのです。)
本当にこの二人でいいんだろうか? レーネという名前に泥を塗るだけなんじゃないだろうか?
と不安ばかりが大きくなってきました。
それでも、まだジップちゃんは、翌日からしぶしぶ指導されたとおりにやっておりましたが、19歳のポックちゃんは、何のための指導教養だったのか?と言いたくなるくらい、何も変わりませんでした。
それどころか、ますます面倒くさい感を漂わせておりました。
また、あんなにメモを取りなさいといっても取らなかった生体水の説明については・・・・
二人共、全くできません。
これは日本の化粧水です・・・
位の説明しかしていないのです。
とよがわざわざタイまで再びやって来て、高い通訳料を払って指導したことは、全くの無駄でした。
ポックちゃんのホームシック
この頃、すでにRさんは、会社の設立もビザや就労許可書の関係等も全て整ったので、黒ガリンガルの買い付けの仕事を軌道に乗せるために、黒ガリンガル農家のある地方に出張したり、農家の仲介業者等との打ち合わせを頻繁に行うなど忙しい日々を送るようになっていました。
そのため、ほとんどサロンにいない状態が続きました。
けれど、流石にタイ語のできないとよをひとりRENEスパに残しているのは不安だったのか、毎日、できるだけ、早く仕事を終えてサロンに戻ってきてくれました。
ジップちゃんは、相変わらず不愛想でしたが、仕事はきちんとこなし、Rさんがいなくてもいても態度に変りはありませんでした。
けれど・・・19歳のポックちゃんの方は、だんだんと甘えがきつくなり、とよだけでなくRさんに対しても我儘三昧を言うようになりました。
例えば、Rさんにバイクで駅までの送り迎えを当たり前のようにお願いするようになりました。
迎えに行かないと出勤して来ないので、Rさんは仕方なく迎えに行く・・・という、状態が続きました。
19歳よりもっと子供のような態度が目立つようになり、ジップちゃんもだんだんとあきれるようになってきました。
そんなポックちゃんに、とよとRさんだけでなく、ジップも次第に呆れた顔を見せるようになったため、とうとうポックちゃんは
面倒臭い、もう家に帰りたい
と言い出し、前より一層動きが悪くなっていったのです。
そして、ほとんど笑うこともなく、毎日毎日、携帯電話でお母さんに電話をかけては泣いていました。
お客さんが来ても、まったく対応しようとせず、ジップちゃんだけが働いているような状態でした。
Rさんからは、
「田舎に帰らせてくれ」というのは、前々から言ってたんですが、お店が落ち着くまで待ってくれと俺がお願いしていたんです。
まったく仕事をしないんじゃ、田舎に帰るのを先延ばしにする意味もなくなってきますし・・・一度、帰らせますか?
と、相談を受けたとよですが、一旦帰らせると、そのまま帰ってこなくなる可能性がありそうで、考え込んでしまいました。
でも、一度帰らせない事には、ずっとこの状態は続きそうだったので、とりあえずRさんに、ポックちゃんのお母さんと電話で話をしてもらいました。
ポックちゃんの家はとても貧しく、そのためお父さんもお母さんも共働きをしています。
なので、タイマッサージ店よりもずっと良い給料を支払ってくれる日本の会社で娘が働けるようになったことを、お母さんはとても喜んでいたそうです。
お母さんは、できればずっとRENEスパで働いてほしいという希望を持っているようでしたが、やはりポックちゃんは
「仕事が面白くない。帰りたい」
と言っているようでした。
お母さん的には田舎に戻って来られるのは経済的にも苦しいので、がんばりなさいと毎日励ましていたそうですが、Rさんが今のままで仕事をしない状態が続いたら辞めてもらうしかないことを伝えたら・・・
一度田舎に娘を帰してもらえませんか?私が娘を説得します。
娘だけだと絶対にバンコクに戻らないのでできれば、一緒に来ていただければありがたいです
という要望が返って来ました。
このことを、とよはRENEの社長であるKちゃんに伝えました。
できるだけ早く、RENEスパを落ち着かせて、Rさんに黒ガリンガルの買い付けと輸出の仕事に専念してもらいたいから、彼女を一旦田舎に帰したほうがいいやろうね。
とよちゃんにも早く日本に帰って来てもらって本来の仕事をしてもらわないといけないし・・・。
お母さんの言うように、彼女一人だと恐らくバンコクに戻ってこないだろうから、とよちゃんとRさんで一旦連れて帰って、再び連れ戻してくれる
という返事が返ってきました。
Rさんが、ジップちゃんにこのことを伝えたら、
そうしてもらえたら私も助かります。
今の状態だと私一人で働いてるのと変わりないし、いつか喧嘩になりそうです
という返事が返って来たので、彼女もなんとかしてほしいと願っている最悪なレベルであることを実感しました。
そんなことから・・・
とよは、タイでの滞在期間を延ばして、ポックちゃんをサコーンナコーンという東北地方の田舎の街に連れて帰ることになったのです。
とよにとっては、タイに来てから始めてのちょっとした「旅行」になるのですが・・・・
なんと、このナコーンサコーンや、その周辺の街は、あまりにも素朴で素敵な場所であり、ポックちゃんが帰りたがるのも仕方がないと納得してしまう面もありました。
次回は、このナコーンサコーンとその周辺の街についての紹介も交えながら、お話しを続けていきたいと思います。