ナコ先生ことナツコが、トヨに対して3回目の痩身マッサージの指導をするために、タイにやって来てくれました。
そして、休日にはスタッフニッさんの田舎に連れて行っていただき、素敵なお寺などを参拝することができましたが、その後に待っていたのは・・・タイ人の無邪気だけど少し厚かましい国民性を見た出来事でした。
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新しいスタッフのジジちゃんに難色を示すニッさん
ナツコの3回目の指導が終わり、ナツコが帰ってしまいました。
その後は、ニッさんと二人で、ヘトヘトになりながらの1ヶ月が過ぎました。
新しく考案した痩身メニューはとても評判がよくて、お客さんが次々と戻って来るようになりました。
そんな時、Rさんから
前にも話ていた知り合いの日本人の社長が、とてもいい子がいるのでどうかなと言ってくれてるけど、一度面接してみる?
俺も一度も会ったことないけど、かなりしっかりしてる子らしいよ。
エステサロンで働いた経験があるんだって
と言われました。
サロンで働いた経験があるというのは、魅力でした。
というのも、以前のスタッフでエステシャンだったガーンさんとゲウちゃんは、元エステシャンで資格も持っており、とても良く働く使える子達だったからです。
経験者は、エステサロンがどういうところで、何をしないといけないかということをわかっていることが必要だと思いました。
それで、さっそく彼女の面接をすることになりました。
彼女はジジちゃんという30歳の女性でした。
シングルマザーで子供が二人いるそうです。
まだ二人共小さいので、田舎でおばさんが育ててくれているとこのとでした。
下の写真がジジちゃんなのですが、最初、この写真を見せられた時
うわ~綺麗な子!! これはいいじゃないですか~
と思いました。
でも、この写真は加工された写真であり、実物のジジちゃんはあまり美人ではありませんでした。
アプリで加工するとこんなに美人になるのだとびっくりしました。
ジジちゃんは、1ヶ月程エステサロンの研修を受けて採用も決まっいたそうなのですが、お兄さんが韓国の農園で働いており、とても給料がいいので手伝ってほしいと頼まれ、しばらく韓国に行っていたそうです。
ところが、3回目の入国の際に、入国を拒否されて先日バンコクに戻ってきておりました。
彼女は、子供2人の養育費も仕送りしないといけないため、早急にお金を稼ぐことを必要としている状態であり、家族と自分の生活を背負っている必死さがにじみ出ていました。
物静かですが、話すととてもしっかりとしていました。
ジジちゃんは、エステサロンの研修を1ヶ月受けたというので、早速、その時に習ったマッサージをやらせてみました。
けれど、マッサージの内容自体がひどかったのと、緊張してガチガチだったのとで、とても上手だとは言えませんでした
けれど、それでも研修を受けたのと受けていないのとでは大違いであり、この子なら少し教えればすぐに使えるようになるとは思いました。
それでも、メグちゃんでひどい目に遇ったトヨは、まだ慎重に選びたいという思いがあったことから
では明日から3日間練習に来てくれますか?それであなたに素質があるかどうか見極めさせていただきます
と返答し、すぐに採用は決めませんでした。
そして、翌日から彼女は練習に来ることになったのですが、これに難色を示したのが意外にもニッさんだったのです・・・・。
翌日お店にやってきたジジちゃんは、もうガチガチで可哀想な位でした。
お店の用意の手順をニッさんから教わるよあうに言いましたが、以外にもニッさんは、ほぼ彼女を無視してどんどん自分で用意しています。
表情も、いつものニコニコと温和なニッさんの顔つきとは全然違ってとても怖いです。
どうしちゃったの?
わけがわからない・・・
空気だと、ジジちゃんが怖気づいて辞めてしまう可能性があります。
それで早々に通訳のみゆきちゃんを呼んで、ニッさんの心情を聞くことにしました。
みゆきちゃんの通訳でわかったことは、ニッさんは前のスタッフのメムちゃんのことがあったので、私が1度の面接で次の日から彼女を来させたことに不安を感じていたそうです。
なので
私が彼女を良く見極めて、先生に採用するかどうか決めてもらう。
おかしな子だったら、お店が大変なことになるからね。
と言っていたそうなのです。
また、なんとなく、ニッさんのタイ人特有の勘だったのか
なんかこの子は良くない気がする
とも言っていたそうです。
ニッさんの気持ちはうれしいものの・・・・・
この時の空気の悪さは、なんとも言えないものでした~
そんなこともあり、ニッさんは、この後の3日間程は、まるでお局さんのようになっていました。
でも、ジジちゃんはなかなか根性があるようで、お局ニッさんの冷たい視線を受けながらも、お店に置いてあるタイ語の美容本を熱心に読み、ノートに記録し、そしてマッサージの練習もまじめにこなしておりました。
そのため、1週間経った頃には、かなりの知識を得ていました。
そして、私の知人である通訳のアリアさんがマッサージに来てくれた際、ジジちゃんからアリアさんに対してリンパマッサージの説明をさせました。
その説明を聞いて、アリアさんが私に日本語で通訳してくれたのですが、本に書かれている難しいリンパのしくみやデータの数字などもすべて暗記しており、完璧な説明ができていました。
アリアさんは、ジジちゃんのことを頭の良い子だと褒めておりました。
ジジちゃんのすさまじい日本語の勉強が始まりました
更にジジちゃんは、アリアさんが、喋る流暢な日本語にすっかり魅せられたようで・・・・
以前、日本人の旦那様を持つゲウちゃんのために買ってあげた日本語の勉強本を見て、日本語の勉強をするようになったのです。
その様子を、ニッさんはずっと冷ややかな目で見ていましたが、ジジちゃんが来るようになって2週間した頃から、ジジちゃんのことを認めたのか、急に優しく接するようになり、二人の関係はとても良くなっていきました。
そして、Rさんの提案で2人を夕食に連れて行ったのですが、そこでは2人ともとても楽しそうであり、これなら大丈夫だなと安心することができました。
その後ニッさんも、ジジちゃんの勉強のすごさに圧倒され、そして刺激を受けたのか、同じように日本語を勉強し始めました。
・・・・・二人に、こんなに勉強されたら・・・
私もタイ語をしっかり勉強するしかないじゃない・・・
ということで、とても勉強熱心なサロンになりました。
トヨは、ジジちゃんのように、こんなによく勉強するタイ人を見たことがありません。
今でいたスタッフで、トヨが買って来たタイ語で書かれた、お肌に関する本だとか、リンパやツボの説明の本だとかを、読んだタイ人はニッさんだけでした。
でもジジちゃんは、その本を家にまで持って帰り、約1週間ですべての本を読破しました。
そして、ちゃんとその内容を覚えています。
また、マッサージの練習用のモデルには、今仕事が落ち着いているという通訳のアリアさんにモニターモデルになってもらいました。
そんなことから、通訳もしてもらえるアリアさんがモデルになりジジちゃんに集中的に練習をさせたお陰で、短期間でかなりのテクニックを取得してくれたのです。
そして、なによりもこの子が凄いのは、休憩時間やお客さんのいない時間は、ずっと日本語を勉強していたことです。
日本人の旦那さんを持つ、以前のスタッフのゲウちゃんですら、勉強しだしても10分経つとすぐに飽きてしまい、本もその辺に放ったらかしという状態でした。
それほど日本語というのは難しい言語であり、現在のスタッフの頭の良い理学療法士のエムちゃんですら、興味を持って勉強を始めたものの「やっぱり無理〰」と1ヶ月でリタイヤしてしまったくらいなのです。
でも、ジジちゃんは、そのゲウちゃんのために買った本を、家まで持って帰って勉強しています。
更に、自分でホワイトボードを買ってきて、ずっとローマ字で日本語を書いて暗記しています。
この集中力にはびっくりです。
一度、1日中大雨で、お客さんのキャンセルが重なり、とても暇になってしまった日がありました。
たいていのタイ人は、ボケーとテレビを見ているか、Facebookをいじっているかなのですが、ジジちゃんは、とにかくずっーと日本語の勉強をしていました。
その甲斐あって、私との会話の中に、日本語の単語が入るようになり、そのお陰で私との会話がスムーズになってきました。
時々火曜日を月曜日と言い間違えたりするので、怖い時はありますが・・・
そのせいかニッさんはおしゃべりができなくて、つまらなそうにしていました。
でもトヨ的には、スタッフ同士でずっとおしゃべりばかりされるのは嫌いなので、とてもありがたい状況でした。
時々
もし、何か必要があれば遠慮しないで言ってください
とか、すごい日本語を使うのでびっくりします。
アリアさん曰く、彼女の日本語を覚えるスピードは、自分が日本語を教えているタイ人より早いそうで
「ジジちゃんはとても頭がいい子だと思います。学校でも勉強できたんじゃないでしょうかね。でも家が貧しくて大学に行けなかったのかもしれませんね。」
と言っていたので、その辺りのことを本人に聞いてもらったところ、図星であり、高校までは勉強はトップクラスでいつも学級委員をしていたそうです。
でも、家が貧しかったのと、お父さんが大酒呑みで病気になり亡くなり、お母さんも牛に踏まれる事故に遭いなくなったそうで、高校卒業と同時に工場に働きに出たそうです。
そして、8年間付き合っていた人との間に子供が2人できたそうですが、籍を入れる前にその人とは別れてしまい、2人目の子は別れた後に妊娠を知り、自分ひとりで生んだということでした。
なので、下の子はまだ1歳であり、おばさん夫婦が田舎で面倒を見てくれているそうです。
そのため、とにかくお金を稼いで貯めたいという思いが強く、この前のメムちゃんのように遊び回ったりすることはほとんどなく、家に引きこもっていることが多いと言っていました。
よく、ニッさんがジジちゃんに
早く彼氏を作って援助してもらいなさい
と助言していますが、ジジちゃんは
男の人を頼って生きるのは嫌です。
自分の手でお金を稼いで、いつか子供と一緒に生活できるようになりたい
と言っていました。
ニッさんも、子供の頃は家がとても貧しかったそうですが、高校を卒業すると同人に結婚し、その後はずっと専業主婦でいたそうです。
けれど、1年程前に離婚し、今は村役場のお偉さんと再婚しているため、余裕のある優雅な暮らしをしています。
なので、いつも
私はお金がほしくてサロンで働かせてもらっているんじゃないんですよ。
先生を助けてあげて、お店を流行らしたいと思って働いているんですよ。
と言ってくれています。
ニッさんも、ジジちゃんも、見た目はどちらもおっとりとしており、穏やかなタイプですが、二人の生き方は全く違うので、今後、その価値観の違いで衝突しだろうか・・・・
という不安はありましたが、やはり、トヨのこの時の不安は後々的中することになるのです。
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