ストレスとは切っても切れないストレス社会に身を置く私達ですが、意外と「ストレス」について、きちんと理解している人は少ないのではないかと思います。
RENEでは、ストレスから生じる様々なトラブルの改善にお役立ちできるメニューを取り揃えておりますが、カウンセリングでストレスについてお話しすることがあっても、具体的にストレスが何かということにすいて、お客様に説明する機会はあまりありません。
また、「病院に行くと、なんでもストレスで片付けられちゃうから頭にくるんですよ!」という声もたくさん耳にします。
そんなことから、今回はストレスについて正しく理解していだくために、ストレスについてお勉強したいと思います。
ストレスとは具体的にどのようなものなの?
「ストレス」は、実はもともとは医学用語ではなく、なんと機械工学の用語になるんですよ!
「物体に何らかの負荷をかけたときに、その物体に生じるひずみのこと」
を指すんです。
例えば、ゴム製のボールを手で押して凹ませると、ボールの中には「元の形に戻ろう」とする力が生まれます。
この元に戻ろうとする力が、「ストレス」なんです。
そして、外から加えられた力と、元に戻ろうとする力の間で生じる緊張状態のことを「ストレス状態」といいます。
このことが、やがて生き物に応用されるようになり、「生き物が何らかの刺激を受けたとき、心身に生じる反応や変化」などがストレスと呼ばれるようになりました。
さらに、ストレスと生じさせる要因である「ストレスの源」についても、「ストレス」と呼ばれています。
ストレスは嬉しい出来事が生じたときにも感じる
なので、ストレスの定義としては、刺激を受けた時に心身に生じる反応や変化とうことになるので、何も悪い反応や変化だけをさすのではないんです。
私達は、ストレスと言えば、「嫌な出来事によって生じる、イライラや憂鬱、不安、怒り、焦り」といったネガティブなイメージを抱いていますが、実は実は・・・・嬉しい〰って出来事によってもストレスが生じることもあるんですよ。
たとえば、結婚式や出産、進学、就職など・・・
人生の一大イベントであり、本来とっても嬉しいはずの出来事ですよね。
ところが、これも「変化=刺激」であり、人や場合によってはストレスをもたらし、心身を不安定にすることがあるのです。
マレッジブルーなんて、まさしく嬉しいストレスの代表ですよね。
適度なストレスはプラスになる場合もある
さらに・・
「ストレスは全てマイナスの変化をもたらす」とは、言いきれないのです。
嬉しい出来事から生じた場合であれ、嫌な出来事から生じたものであれ、ストレスが、人間にとってプラスに働くケースも結構あるんですよ。
例えば
* 仕事の締め切りやノルマがある
* 大切なプロジェクトを任された
* どうしてもライバルには負けられない
といったような場面で受ける刺激は、時に人のモチベーションや集中力をアップさせたり、希望やワクワク感、達成感をもたらしたりする場合があります。
精神面だけでなく、身体的にも適度な刺激は良いとされています。
例えば、
筋肉ですが、適度な負荷や刺激をかけ続けることで鍛えられ発達していきます。
温度変化を受けると、体温調節の機能が正常に働くようになります。
また、ストレスはホルモンにも影響を与えます。
ストレスと感じると、脳下垂体という部位から「オキシトシン」が分泌されます。
オキシトシンは、「愛情ホルモン」「幸せホルモン」とも呼ばれ、不安感や恐怖を抑えて安らぎをもたらしたり、他者との交流を深める気持ちや信頼感を高めたり細胞分裂を促して傷を治したりする作用があります。
オキシトシンは、親しい人との会話やスキンシップの際に分泌されることが多いのですが、意外にもストレスを受けたときにも分泌され、そして、ストレスから身を守る働きをしてくれるのです。
また、脳に対しても適度なストレスは良いとされています。
適度なストレスは脳の働きを活性化させ記憶を向上させてくれます。
さらに自発性や立ち直る力を養うともいわれています。
そんなことから、全くストレスがない状態だと、人は心身ともにどんどん弱くなってしまうのです。
人によってストレスへの耐性は異なりますが、適度なストレスは、私達にとって必要不可欠ともいえる存在なんですよ。
過剰なストレスはあらゆる体の不調を招く
ということで適度なストレスはプラスに働くということはお分かりいただけたと思いますが、反対に過剰なストレスは自律神経を狂わせ、あらゆる体の不調を招きます。
あまりにも大きなショックを受けたり、ストレス状態が長く続いたりした場合、今度は心身にマイナスの作用があらわれます。
「生活が劇変するような出来事が起こる」
「深刻すぎる悩みを抱える」
「休みがとれない多忙な状態が続く」
といったようなことをきっかけに、肩こりや眼精疲労がとれなかったり、頭痛やめまいが起こったり、胃腸の具合がおかしくなったり、白髪が増えたり、眠れなくなったりします。
そこで病院に行き、特に検査では異常が認められないと「ストレスのせいですね」と言われてしまうのです。
これは正しい診断ではあるのですが、問題は、この過剰なストレスをそのまま放置しておくことです。
場合によってはがんや心疾患、脳血管疾患、うつ病や摂食障害などの深刻な病気を引き起こす場合もあるのです。
ストレスによる体調不良の場合、病院では、精神安定剤や睡眠薬を投与されるかもしれません。
でも、ほとんどの方が、「薬を飲んでも改善できない」という思いは抱えていらっしゃるのではないでしょうか?
人の体に備わっているシステム「ホメオスタシス」って何?
では、なぜ過剰なストレスが様々な体調不良を引き起こすのでしょうか?
その理由を説明する前に、まずは「ホメオスタシス」(生体恒常性)について、簡単に説明したいと思います。
生き物には、何らかの刺激を受けたり、外界の環境が変ったりしても、常に一定の状態を保ち、環境に適応するシステムが備わっています。
これを「ホメオスタシス」(生体恒常性)といいます。
ホメオスタシスがどのような働きをするかといいますと、例えば
*のどが渇くことで水分が足りてないと気づいたり
*暑い日に汗をかくことで体温を下げて調整したり
*体内の老廃物や体外から入ってきた異物などを体から排除したり
するのは、いずれもホメオスタシスの働きのおかげなのです。
ホメオスタシスは、
① 自律神経
② 内分泌系
③ 免疫系
といったシステムによりコントロールされています。
この3つの中でも、自律神経は、自分の意思とは関係なく勝手に動いている神経になるのですが、「交感神経」と「副交感神経」によって成り立っています。
「交感神経」と「副交感神経」については、とても良く聞く言葉だと思いますが、基本的には、交感神経が優位になると、体は緊張状態になり、副交感神経が優位になるとリラックスします。
この2つが、シーソーのようにバランスをとることにより、生命を維持するために必要な「胃腸の働き」「心臓の動き」「代謝」「体温調節」などが行われます。
そして、どちらかが極端に優位になりすぎると、心身にさまざまな不具合が生じてくるのです。
ストレスから生じる体調不良の中でも良く耳にする「自律神経失調症」は、この「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れることで起こる代表的な病気といえます。
次に、自律神経と同じ位、私達の体をコントロールしているものにホルモンがあります。
体内のホルモン分泌は、内分泌系によりコントロールされています。
そして、体に害を及ぼすウイルスやがん細胞等の異物は、免疫系により排除されます。
そんなことから、「自律神経」「内分泌系」「免疫系」の3つの働きにより、私達の体は健康に保たれているのですが、過剰なストレスは、こうしたシステムのバランスを崩し、ホメオスタシスが正常に機能するのを妨げてしまうのです。
次回は、過剰なストレスがどのように「自律神経」「内分泌系」「免疫系」のバランスを崩すのかを説明し、さらにストレスに効果がある療法についても説明していきますね。